オーディオの最低買取保証・・・の疑問

今回はちょっときな臭いなと思っている最低買取額保証サービスについてみなさんにお伝えしたいと思います。

【最低買取保証とは】

最低買取保証とは、その商品の最低買取額を保証するシステムです。売る方としてはこれ以上ない安心感が得られますから、とても良いシステムですよね。

私が亡き父のオーディオを売却したときは、私にはまったく知識がありませんでした。そのため、(今だからこそわかるのですが)とても価値のあるスピーカーやアンプなどを、まとめてわずか数万円で売却してしまったものです。

父の形見なのに、なんてことをしてしまったのだろう。

本当にあの時のことは、一生忘れることのできない非常に悲しい出来事です。
悔やんでも悔やんでも悔やみきれません。

そこで私は、私と同じ思いをする人が少しでも減るように、オーディオ買い替えやオーディオ売却のサポートをするようになりました。そして、そんな私が「これ、いいな」と思ったのが、この買取最低保証です。

最低いくらで買取ってくれるのか。

これが事前に分かっていれば、売る方としてはとても安心できます。私も父のオーディオを売却したときに、「買取最低保証」を謳うお店を知っていたら、ひょっとするとそこに頼んだかもしれません。

が、しかしです。
先日、私は十年ぶりに(正確には九年と八ヶ月ぶりに)車を買い替えるため愛車を下取りに出しました。査定はもちろん、まずは「買取最低保証金額」を提示してくれるお店にお願いしました。

店名の公開は控えますが、とても丁寧に対応していただき、さらに、色々と業界についても教えていただきました。基本的にはオーディオの買取業界と同じなんだな、と聞いていたのですが、車買取の場合は少し様子が違っていました。

車の買取業界ならではの「商売のカラクリ」。

これには本当に感心させられました。なるほど。と、何度も頷いたものです。が、その「とあるカラクリ」について理解が深まれば深まるほど、一つの疑念が強まってきました。どうしても腑に落ちないのです。

それは、”オーディオの買取最低保証は怪しい”ということです。
そうなんです。車の買取査定業者の話を聞いて、私はそう疑わざるをえなくなったのです。

【なぜ、車は買取最低保証が実現できるの?】

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まず、車を買取る業者のビジネスモデルを解説しますね。

車の買取業者は、車を私たち市民から買取って、それを他の人に売ることで利益を出しています。ですから、良いものは高い金額で買取っても、良いものですから高値で売れます。

反対に、程度の悪いものを安く買えば、当然低い金額でなければ売れません。あるいは、ひょっとすると買い手が全くつかない可能性もあります。世の中には「ただでも要らないモノ」はたくさんありますからね。

そうした理由により、車の買取業者は「良い車」を何とか仕入れようと必死です。これはオーディオ買取業界とまったく同じです。良いモノなら高く買取っても高く売れます。しかし、悪い物を買取ってしまうと場合によっては買い手がつかない可能性もあって、リスクはとても高くなります。ハイリスク・ローリターン。ビジネスモデルとしては良くないですね。

おそらく、買取業界はどこも同じだと思います。「良いものを高く買取り、悪い物は買取らない」。きっと、これが優良買取業者なのでしょう。

しかし、車の買取業界には、もう一つ「儲けるカラクリ」がありました。それは、車の原材料に大きく関係があります。車では「それ」を莫大な量を使用しているから、その商売が実現でき、ですから「買取最低保証金額」の提示が実現できています。

それは鉄です。鉄は再利用が可能なため、スクラップマーケットで値がつきます。ですから、普通では価格がつかない事故車や不動車でも、最低保証金額での買取りが可能なのです。言ってみれば、「車を買取って車として売る」が一般的ですが、あまり程度の良くない物については「車を買取って、鉄として売る」わけです。

車の買取査定業者の方はおっしゃいました。
「こうした事情があるから、車の買取業界では”買取最低保証”が可能なんですよ」

なるほど。
私が大きく頷いたのはいうまでもありません。

【オーディオの最低買取保証?】

では、オーディオはどうでしょう。
オーディオも少しは鉄を使っていますが、正直言って微々たるものです。車一台分の鉄をオーディオから抽出しようとしたら、一体どれだけのオーディオが必要となるでしょう。想像すらできないですね。

にも関わらず、オーディオ買取業界で「買取最低保証」を謳っているお店があるのはなぜでしょう。どんなカラクリがあるのでしょう。色々調べてみると、かなりキナクサイ臭いがしてきたので報告します。

まず、一番多かったのが「買取最低保証を謳っておいて、買取最低保証など全くしていない」ケースです。

車の買取業界では、「買取最低保証」といえば文字通り「どんな状態でも最低○○円で買取ります」という意味です。もちろん盗難車だとあらかじめわかっていれば対象外ですが、それ以外では基本的に条件はありません。

しかし、オーディオ買取業界では違います。
「キズがない」「動作に不具合がない」など、とても細かい条件がいくつもあります。そして、そうした条件をクリアして、初めて「買取最低保証」が適用されるようなのです。

この事実を聞かされて、あなたは何を思いますか?私は非常に苛立ちました。こういう業者がいるということは、私みたいに言葉巧みに言いくるめられ、大切なオーディオ機器を安く買い叩かれている人がいるというわけです。本当に腹立たしい限りです。

いずれにせよ、考えてみればわかることですよね。
オーディオ機器は、オーディオ機器として買取って、オーディオ機器として売ります。車みたいに、鉄として売ったりすることはできません。なぜなら、オーディオの価値は材料より技術にありますから。

そして、オーディオは音を響かせてこそ、初めてその価値を生みます。ですから、オーディオ買取業者は必ず実物を見て査定します。実際にオーディオ機器に触れてみて、動作確認をして、一品一品ていねいに査定をします。

○○というモデルのスピーカーなら、買取最低額は○○円!
これもおかしな話です。いくらそれが高級なモデルでも、動かなかったらどうするのでしょう?直して販売?いえいえ。世の中には直らないものも必ずあります。

にも関わらず、メーカーと品番を聞いただけで、そうした作業を一切せずに「買取最低保証」を謳う。そこには、正直言って悪意しか感じません。ユーザーの心理をもて遊んでいるようにか思えないのです。

【まとめ】

あなたはどう思いますか。

車の買取業界には、「買取最低保証」が実現できる理由がありました。しかし、オーディオ買取業界にはそんな理由は見当たりません。そして、それを踏まえた上でもう一度聞きます。

あなたはどう思いますか。

どうか一度立ち止まって、どこの買取屋を選ぶか再考ください。くれぐれも、私のようにはならないでください。それが私の願いです

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